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開発者物語

現場の問題を解決する「秘伝の策」が完成!

三雲製作所は、埼玉県内で精密板金・金型製作・精密プレスを行う金属プレス加工業を営み、
自動車部品やAV機器などのさまざまな機械部品を製造している中小企業である。

その小さな会社に、大問題が起こった。それを解決するために誕生したのが、「オートキャッチャー」である。
その仕掛け人は、開発者の白石工場長(53) ―――――――――

もともと困っていたのは私です

写真:白石工場長「開発者なんて、そんな格好のいいものでは・・・」と、照れながら話す白石は、製造技術者として現場を支える第一人者。厳格な中に優しさを持つ、職人肌の九州男児だ。

1968年の創業以来、三雲製作所は自動車部品加工などの下請け業務がメインで、メーカーという色合いはなかった。1990年頃は、最盛期で、仕事はひっきりなしに来る状況であった。だが、バブルが崩壊した直後から、生産拠点が諸外国へ移り始め、三雲製作所の生産数は年々減少していった。

2000年に入ると、得意先からは更なるコストダウンと品質向上を要求され、会社を取り巻く状況は厳しさを増していく。
時代は、小ロット・多品種・短納期生産へと変化し、生産数の上がらない加工品も増え、現場は対応に追われしだいに疲弊していった。

そして悪いことに、2005年の秋、作業者が加工中、怪我をしてしまったのである。――社内は、重い空気に包まれていた。

「どげんかせんといかん!この状況を打開する方法を考えなくては!」

白石は、同業他社に相談したり、インターネットで調べたりしたが、現状を改善できる方法を見出せず苦悩していた。だが、白石には、仕組みさえできれば、現場を改善できるという確信があった。ある日、彼は決心した。

「無ければ、自分で作ろう。」

会社には迷惑をかけてしまいました

製作を開始してから数ヶ月後の2006年10月。試行錯誤の末、オートキャッチャー第一号機が完成した。

「こんなもので本当に作業効率が上がるのか?」と、現場には不安の声もあったが、実際にプレス機に取り付けて加工を行うと、予想以上の生産数をたたき出した。

「よかった!ほんとうによかった!」

白石、そして現場には笑顔が戻った。
しかし、その喜びもつかの間だった。

その日も、オートキャッチャーを使用して加工を行っていた。
オートキャッチャーは、順調に動作しているように見えた。

しかし、突然「バキッッッ」っと、大きな音が工場内に鳴り響いた。

慌てて駆け寄った白石が目撃したものは、トレーがプレス機に挟まれた、オートキャッチャーの無残な姿だった。
悪いことにトレーをプレスしたので、金型まで破損していたのだ。

「そんなことが起こると思っていなかったので、愕然としました」
原因はオートキャッチャーのギヤが、使用頻度に耐えられず摩耗し、破損してしまったことだった。
「生産効率を上げるどころか、金型を破損させてしまい、会社には迷惑をかけてしまいました」

しかし、白石は諦めなかった。オートキャッチャーは今の時代に絶対に必要なものだという信念があったからである。この日から、オートキャッチャーの改良に取り組み始めた。

写真:オートキャッチャー1号機【オートキャッチャー試作第1号モデルについて】
2006年に製作した、試作第1号モデル。
プレス機との連動性、可動トレーの動作などを試験するために製作した。
トレー先端部についているリミットスイッチは、トレーが金型に挟まれないためのもの。
しかし、すべてのプレス機への配線装置が必要で、汎用性がなく、採用されなかった。

売り物ではありません

写真:白石工場長ギヤの改良を行ったオートキャッチャー第二号機は、以前にも増して快調に稼動し始めた。
そして得意先からの厳しい要求に、難なく応えられるようになったのである。

そんなある日、工場見学に来た同業他社の方がオートキャッチャーを見て、しばらく立ち止まった。

そして、「画期的な仕組みですね。当社にコレを譲ってもらえませんか」と白石に依頼したのだ。
「オートキャッチャーは販売目的ではなく、自社の安全性と生産効率を上げるために製作したものです。それを購入したいと言われた時は、とても驚きました」。

しかし、その驚きは、1度だけではなかった。その後も同じことが、2度3度と続き、次第に「オートキャッチャーを製品化してみては?」と周囲から勧められるようになった。商品にする気持ちがまったくなかった白石だったが、背中を押されるような形で、オートキャッチャーの製品化に向けての開発が始まった。

開発者はチーム全員です

オートキャッチャー製品化への道のりは、思った以上に険しいものだった。
当初は、自社での使用だけを考えていればよかったが、これからは、利用するお客様に満足していただかなければならない。セッティング方法や耐用性(耐久性)などの改良点は多数あった。白石は、開発チームを発足し、あきらめずに根気よく開発を続けた。

「いろいろな問題が出てきたのですが、使う人のためにもっと良くしたいという思いがありました」と、開発に明け暮れた3年の日々を、懐かしそうに振り返る。

写真:白石工場長と開発チーム「開発チームの仲間とは、何度もぶつかりましたね。チーム全員がオートキャッチャーをよくしたいという思いだったのですが、なかなか開発が進まず、出たアイデアをカタチにしては捨てての連続でした。本当に苦しい日々でした」。

特に苦労したのは「セッティング」に関してであったという。
「だれでも、簡単に、短時間で、様々なプレス機に取り付けできるというのが課題だったんです。当初はプレス機に取り付ける際の可動アームの調整がとても難しく、目標には到底及ばなかったんです」。

そんなある日、開発チームの一人が画期的なアイデアを出した。
「そのアイデアを聞いた時、すぐに『これでいける!』と確信しました」と、白石は嬉しそうに語る。

そして現在の「ワンタッチ調整機能」が完成。ついに目標をクリアできたのである。

「開発のほとんどは、チームのアイデアを採用したものです。私はそのアイデアをカタチにしたにすぎません」と、白石は開発チームの仲間の努力を称える。

苦労が全て報われました

いよいよオートキャッチャーを一般公開する時が来た。2011年1月、埼玉で開催される「ビジネスアリーナ2011」―――まだ、試作段階での出展だったため、カタログもない状況だった。のぼりを立て、手作りの動画を流し、チラシを配布した。関心を持っていただいた方に白石は 無我夢中で説明し、100名近い方に「いいね!」と、賞賛を受けた。
「展示会に出す前は、期待もありましたが、不安の方が大きかった。しかし出展して、多くの方にほめていただいたことは、大きな自信につながりました」。

その後、展示会で名刺交換したお客様から、発売開始前にもかかわらず、数台注文が入った。
「まだ販売価格も決まっていなかったのに、購入したいと声をかけていただきました。モノづくりをしている方のお役に立てるのだと実感し、今までの苦労が報われた瞬間でした」。

開発は終わらない

写真:白石工場長白石の趣味はサーフィンである。「幼年期、家の目の前が海で友達と素潜りして遊んでいました。もう若くはないので、日頃はプールで体力づくりに励んでいます。オートキャッチャーはきっと、これからもお客様と共に進化していきます。サーフィンにも開発にも、まずは体力が必要ですね」。

モノづくりが好きで、モノづくりをしている人が好きで、困っている同業社のお役に立ちたいという気持ちが、白石の開発の原動力である。

一緒に開発する仲間、また、開発した製品を使っていただく同業者の方々。白石は多くの製造に携わる人々に囲まれて、これからも開発を進めていく。

オートキャッチャーのお問い合わせは

株式会社三雲製作所 TEL:048-433-3212 資料請求はこちら